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知的生活本 板坂元

古いものへの執着心が乏しい日本人 板坂元『紳士の悦楽』より

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古いものへの執着心が乏しい日本人

板坂元(1996)『紳士の悦楽』PHP研究所

板坂元(1996)『紳士の悦楽』PHP研究所

著者は、この本のなかで日本人の古いものへの思いについて述べている。

日本と違って、たとえば米国では、古い花嫁衣裳を着たがる女性が多い。祖母や曾祖母が結婚のとき着て、今はシルクが少し黄色く変色しているドレスを彼女たちは喜んで着る。(中略)家に伝わっている古いドレスの方が貴重だし、誇りを着るような思いも手伝うようだ。

江戸時代や明治時代の婚礼衣装に対する尊敬や愛着の思いが乏しいので、できるなら新調のをという思いが強く働くのかもしれない。

日本人は古いものに執着する思いが乏しいのかもしれない。第二次世界大戦で都市の大部分が廃墟になったので、古いものに対する愛着も尊敬の思いも弱くなってしまった。

また、米国では家系に関する本が多くあるという。

日本には系図らしい系図をちゃんと持っている家が非常に少ないことを感じる。米国の古本屋に行くと、家系学というか、ルーツについての本がおびただしく並んでいる。(中略)日本に比べて三百年そこそこの歴史しかない米国人たちも、強い伝統尊敬の思いを持っているのは、どうしたことなのだろう。

著者は、このような経験を踏まえながら「日本人はアンティークについての知識も関心も乏しすぎる」として、日本人が古いものへの尊敬と愛着の念を失ってしまったことを非常に残念に思っているようだ。

これについては、著者自身が指摘しているように、古いものが日常生活のなかから姿を消してしまったのであるから、知識や関心がなくても仕方がない面もあろう。家に古いものがなくなり、消費生活の形にすすんだ日本の家庭では、多くの人は日常生活においてアンティークとの接点がない。毎日の生活のなかに古いものを使う風景を見ること自体が珍しくなってしまったのだ。

アンティークとは

そもそも、アンティークとはフランス語で骨董品のことであり、1934年にアメリカで制定された通商関税法に「製造された時点から100年を経過した手工芸品・工芸品・美術品」という定義がされたそうだ。しかし、アンティークと同じように使われるヴィンテージジャンクは明確ではないらしい。ただ、一般的に「ヴィンテージ」というと、25年から100年未満のアイテムに使うことが多いということだ。

この本は、今から20年も前に出版されたものであるから、今のアメリカの状況はわからない。ただ、現在でもアンティークの取引は海外の方が盛んであると聞く。

アンティークに対する価値をどれ程感じるかは様々だが、古いものに対する尊敬の念は持っていたいと思う。わたしたち日本人は、どうすれば古いものに対する尊敬や愛着も取り戻すことができるのであろうか。

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