ネット上には、白内障手術に関連する情報が数多くあります。自分のような症状(10代の頃からコンタクトレンズ使用、円錐角膜による不正乱視・強度の近視(-9D)で白内障手術を受けるようなケースの記事をネット上であまり見つけることができませんでした。白内障手術をうける全体数からすると、自分のような症状の人は多くはないと思われますが、同じような症状の人が白内障手術を受けるさいに少しでも役に立つ情報になればと思い、手術前の状況、体験を記録することにしました。
手術から半年後 どこまで視力が回復したか
今回、白内障手術を受けたことによって裸眼で外出することができるようになりました。現在、裸眼で両目ともに0.4~0.5程度、病院での視力検査での矯正視力は1.0です。本や新聞を裸眼で読める視力になりました。日常生活がかなり楽になりました。このことは白内障手術による大きなメリットです。強度近視であった自分の感覚としては別次元でよく見えています。
半年後の診察のときに、「日常生活でとくに気を付けることはありますか」と担当医に聞いたところ、「とくにありません」とのことでした。ただ、極度の近視だったので、極度の近視の人に起こる症状はこれからも出る可能性があるとのことでした。
白内障手術を受けるまでの経緯
以下は、病院での受診から手術を受けるまでの経緯です。
2021年春
免許更新の時期でした。普段は不正乱視のためハードコンタクトレンズを使用。視力検査もとくに問題なく、免許の更新ができました。この時点では免許の更新に必要な視力はありました。
2022年1月
右目が見えづらいことに気づきます。コンタクトレンズを使ってもパソコンの画面の文字が見づらくなりました。モニター画面と目との距離は70センチぐらい。左目は見えていましたが、画面が見づらく、仕事しづらい状況になりました。きっと、もっと前から右目は見えづらくなっていたはずですが、左目が見えていたので気づかなかったのかもしれません。その時の症状ですがが、光が乱反射しているようなイメージでしょうか。
コンタクトレンズを使用しても見えない状況には、これまでにない焦りのようなものを感じました。いろいろな目薬や目をできるだけ休めるようなことをして仕事をしていましたが、2月に職場に近い(有名な)眼科病院に予約を入れました。
2022年3月
眼科病院で様々な検査をしてもらいました。その結果、両目ともに白内障との診断。-9D~10Dの近眼と円錐角膜、不正乱視に加えて、眼軸が非常に長いことがわかりました。
2022年6月
手術前検査を行いました。コンタクトレンズは1週間ほど使用できませんでしたので、このときはメガネでの生活は不便でした。眼内レンズは、“単焦点レンズ”で“近く合わせ”になりました。もともと眼鏡なしの生活を希望したわけでもなかったし、不正乱視のため乱視矯正のレンズは選択しなかった(できなかった?)。
2022年8月
右目から手術しました。その1週間後に左目を手術しました(いずれも日帰り手術)。
右目の手術 手術当日の詳細
手術当日の様子です。
- 朝8時に受付
- 看護師による説明、血圧測定、数種類の目薬、視力検査
- 手術前診察 水をかけながら手術するため、眼球が押されるようになるとの説明。痛かったら伝えるよう指示あり
- 控室で待機、目薬・服の上から手術用ガウン・ソフトキャップ(キャップ・マスクはテープ留め)
- 手術前控室に呼ばれ、そこで再度目薬
- 手術室に呼ばれ、椅子に座り、頭の位置を確定
- まつげ上下をテープで留める(おそらく)
- 数種類の目薬、注射による麻酔
- 目が閉じられないように、器具をつける(おそらく)
- 手術中はライトの方をぼんやりみていてくださいとの指示あり
- 手術開始
- 手術中にすこし眼球が押される感じがあった(痛いという感じではなかった)
- おそらく短時間であったろうが、緊張していたこともあり、それなりに長く感じた
- 手術終了
- すぐに右目に眼帯
- 控室で30分ほど休憩
- 血圧測定。翌日診察の説明
- 受付で処方箋をもらい会計
- 薬局で痛み止め、3種の目薬をもらう
- 帰宅して安静
- 寝るときは保護メガネ(保護メガネは事前に購入。JINSプロテクトプロ、軽い、密着)
感想
ネットで調べてみても、リスクが高い手術ではないと認識していたが、いざ受けてみると緊張感がすごかった。とにかく担当医とスタッフを信頼しました。私は日帰り手術を選択しましたが、手術後に一人での帰宅はすこしリスクがあると思います。強度の近視の人は眼鏡をかけないと歩けないので、眼帯をして眼鏡をかけることになります。眼帯によって眼鏡はうまく耳にかからないため安定しません。エスカレーターや階段は危険だと思います。人ともぶつかりやすいかもしれません。できれば、家族や知人に迎えにきてもらうことをおすすめします。私は手術終了時間頃に連れ合いに迎えに来てもらいました。
右目手術の翌日(午前中の診察)
午前中の診察
- 前日の手術後につけた眼帯をしたまま午前中(私の場合は8時頃)に病院に行き、診察をうける(この日は連れ合いと一緒に病院に行ってもらいました)
- 眼帯を外して眼圧検査・視力検査(裸眼で0.5)
- この視力は一時的なもので変化するとの説明がありました
- 裸眼0.1も見えなかったので、裸眼0.5程度まで見えるようになり感動しました
- 担当医による診察(すこし白目に充血)
- 手術による傷の心配はなしとのこと
- 痛みが出たらすぐに病院に連絡するようにとのこと(4日後に再度診察)
- 右目が見えるようになったので、保護メガネをつけて帰宅しました。
午後
帰宅してから少し仕事をはじめる。痛みもない。左目は見えないので、右目に頼るかたちです。パソコン画面を長時間見ていると、ときどき、コロコロする軽い痛みが走るような感覚がありました。
- 痛みがなくても無理はしないほうがいいと思います。痛みがないから調子にのって長時間の作業をしないことです。反省点です。
- 保護メガネは絶対にしたほうがいい。自宅にいるとはいえ、目にゴミ、水などが入る危険性が高いと感じました。食事、簡単な洗い物をする場合でもそのリスクはあります。当然外出すれば、ごみが入るリスクは高まります。保護メガネは昼間も、寝るときも一日常かけていました。この日はシャワーも禁止。
- 右目は見えますが、左目はよく見えないので、目薬はさしづらい(手術後は1日4回さします)
手術5日目(診察)
視力検査・眼底検査、左目の手術の説明をうけました。右目の視力とのバランスを確認しました。
左目の手術
右目の手術と同じです。
左目手術の翌日(午前中の診察)
眼帯をはずしたときに、右目よりも視力が弱く感じる。外した直後は、左右の見え方が異なり、違和感を覚えました。裸眼視力は0.5でした。乱視を矯正していないので、左右の不正乱視の差が見え方の違いに出たと思われます。ただ、違和感は長く続くことはなく、すぐに慣れました。これで両目ともに裸眼視力が0.5程度になりましたので、眼鏡なしでの生活ができるようになりました。10代の頃から眼鏡をかけて生活することが普通だったので、感動です。新聞も裸眼で読めまし、テレビも眼鏡なしで字幕が見えます。
左目手術の3日目
霧がかかったような見え方を感じました。とくに病院には連絡しませんでした。時間とともに改善しました。
左目手術の2週間後
ついつい仕事でPC画面を見続けてします。目の渇きを感じました。担当医に相談して、涙と同じ成分の目薬をさすようにしました。できる範囲で目を休めながら使ったほうがいいと思います。また、日差しが強い日に外にでると、以前よりもまぶしく感じました。
手術半年後
最初に書きましたが、手術により生活が楽になりました。新しい眼鏡は術後2カ月後に作成しました。不正乱視を矯正せず、すこし遠くが見えるようなレンズをつくりました(0.6ぐらい)。乱視を矯正していないので、しっかりピントがあっているわけではありませんが、PCの画面を見たり、日常生活が楽になりました。車を運転するわけではないのでとりあえずは十分です。もうすこし遠くが見えてもいいかなという気がすることはあります。手術後に不正乱視がどこまで影響するかが心配でしたが、近視の矯正だけでも十分楽になりました。もっときちんと見たければ、眼鏡はもちろん、コンタクトレンズで矯正可能です。強度の近視の場合、矯正視力を出すのも大変でした。水晶体のにごりによる見えづらさは解消されましたが、強度近視と不正乱視による目の病気がおこる可能性は依然として高いので、これからはもっと目をいたわる時間をつくりたいと思います。