マナーとは他人にを与えないこと
これは、「モノへのこだわり、生活の質へのこだわり」をテーマにエッセイを執筆する板坂氏(江戸文学研究)による”作法=マナ-”に焦点をあてた本である。
筆者は、この本でマナーを「他人に不快感を与えないこと」を基本として考えながら、「他人の心身に迷惑を及ぼさないことはもちろん、他人を幸福にしリラックスさせることが何よりも重要」として、作法・マナーの本質を踏まえながら、さまざまなモノやコトについて語っている。
この本の中に、「人生の一瞬一瞬に減点法が働いて、その人の評価が決まるのだが、やはり自己主張をぬかりなく行うためには、それなりの知識と修業が必要になってくる。」とある。つまり、他人目からみて減点されないように、モノやコトに日頃から、こだわりもち、生活の質≒知的生活をおくることが大切ということであろう。
いろいろなモノやコトをテーマにしながら、”作法・マナー”が語られている。
OA機器に囲まれた生活環境は何から何まで無機物だらけで、気が狂いそうになるほど非人間的だ。そういう中で、せめて、着るものや持ちものくらい、化繊でなくウールやシルクにしたり、手作りの文房具を持つことにして、人間味ある自分の世界を守る必要があろうというもの。
とある。モノにこだわりがなくなると、自分の生活の中に無機物が侵食し、ストレスがたまる生活環境にいつの間にか陥ってしまうということ。モノへのこだわりこそが、自分の生活を守る方法ということであろうか。
板坂元(1993)『男の作法』日本能率協会マネジメントセンター