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戦場がもたらした腕時計の革新 今井今朝春『軍用時計物語』より

戦場がもたらした腕時計の革新

今井今朝春(1990)『軍用時計物語』光文社

「腕時計がどのような進化を遂げてきたのか?」筆者はこの問いにこたえるべく、腕時計の歴史を丁寧に調べ、戦場が腕時計の革新にいかに貢献してきたのかを解説する。

本書の構成は、「はしがき」、「第1章リストウォッチ進化論」、「第2章世界のミリタリーウォッチ・グラフティ」、「第3章アメリカの軍規格にみる時計開発システム」、「第4章アメリカのミリタリーウォッチ・カタログ」、「第5章イギリスに始まる軍用時計の系譜」、「第6章イギリスのミリタリーウォッチ・カタログ」、「第7章世界のミリタリーウォッチ・カタログ」である。

19世紀末、数秒のタイムラグが甚大な損失を招き、場合によっては生死にかかわる世界、つまり戦場が世界各地で展開された。この戦場で”いかに正確な時を知るか”が、勝敗に大きな影響を与えるようになった。

最初に腕時計が戦場に投入されたのは、ボーア戦争でのイギリス軍将校だったということだ。この戦争以来、腕時計の有用性が証明され、腕時計は革新を遂げていったということらしい。戦争が腕時計の進化をもたらしたものであり、戦場での時計、つまりミリタリーウォッチの歴史をたどることが、腕時計の進化の歴史を知る近道ということである。

第3章以降は、アメリカとイギリスの軍用時計の革新の経緯を解説する。丁寧な解説がなされ資料的な価値も高いと思われる。

この本も、松山猛『おろろじ』と同様に長い間書棚にうずもれていたが、久しぶりに発見した。備忘録として感想を保存しておくことにした。

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