梅田晴夫氏による『The 万年筆』。1974年に読売新聞社から出版され、40年以上を経過。
「まえがき」から引用
「この中の多くの文章を、私は≪わかくさ通信≫というペン習字の雑誌に連載したわけだが、万年筆というものについての本はおそらく、いや確実に<世界最初>のものである。」
著者いわく、世界最初の”万年筆本”である。万年筆に関する本の世界での出版状況は不明だが、少なくとも日本では最初の本格的な万年筆本であろう。ペンと万年筆を歴史を西洋編と日本編に分けて、丁寧に述べている点は、さすがは梅田氏というべきものである。装丁を含めて、万年筆本の古典にふさわしいものである。その内容は、以下のとおり。
- ペンの雑学
- ペンと万年筆の歴史<西洋編>
- ペンと万年筆の歴史<日本編>
- 文具と生活
とくに、万年筆について西洋と日本における歴史的な考察をしているところは、読み物として面白い。
実用的な情報として、”ペンの雑学”の項に、万年筆を、”選ぶ”、”馴致(ブレーク・イン)”、”手入れと保存”についての記述があるので整理しておく。
「選ぶ」
- 他人に頼まずに必ず自分自身で選ぶこと
- まず自分が手に持った時の感じを大切にすること
- ペン先の太さは主な使用目的をはっきりさせて選ぶこと
- 選び出した万年筆に、躊躇なくインクを入れてもらうこと
「馴致」
- 短期間になるべく沢山の字を書く
- インクの流れをよくするコツ
- インクをペンになじませる
「手入れと保存」
- 頻繁に使うこと
- 使い方の少ない場合
- インクを選ぶ
- 分解掃除
- 自分で分解しないこと
- 製品の説明書をよく読む