25年にわたって使ってきた手帳たち~ハードとソフトのベストな組み合わせは?
ファイロファックス手帳とほぼ日手帳を使う
学生時代、手帳というものを持ったことがなかった。当時のことを思いだしても、相当自分は暇だったようだ。夏休みともなれば古本屋で買ってきた大量の小説を一日中、誰にも邪魔されずに下宿のアパートで読んでいたことを思い出す。今から30年以上も前のことである。今思えば、もう少し古典といわれている本を読んでおくべきだったと反省する。
職場で最初に使用した手帳
手帳を使い始めたのは、社会人になってからだ。実は、1990年代前半にシステム系(COBOLによる開発と運用)の仕事をしていた。学生時代とは違い、自分がやらなければならない仕事に毎日のバッチ処理やオンライン処理があった。入力パンチ業者からMT(磁気テープ)でデータが戻ってくるので、これを処理する仕事だ。この仕事を担当していた当時は、自分で手帳は買うことはなかった。それは、職場で手帳が配られていたたからだ。この手帳は、出入りの業者が毎年持ってきてくれていたのだ。この手帳には、コマンドからジョブの流れ、先輩からのアドバイスなどなど仕事にかかわるほとんどすべてのことを記入していた。この手帳がもしなくなったらと思うとぞっとする。この手帳は仕事専用であり、プライベートなことは一切書くことはなかった。職場に常駐なので当たり前だ。
当時、職場の先輩が”いい感じ”に使い込まれたカーキ色のバイブルサイズのシステム手帳を使っていた。たしかサザビーズの手帳だったと思う。裏地には緑色の布(?)が貼ってあり、かっこよかった。先輩はお子さんが生まれたばかりで、プライベートでもかなり忙しそうだったので、手帳は必須であったのだろう。まだ、携帯電話もPHSも普及していなかった時代である。予定は紙に書くことがあたり前だった。
▼職場で最初に使用した手帳
ファイロファックス手帳を使いはじめる
1990年代中頃に香港に行く機会があった。香港は文房具(土産店)が数多くあり、小さなお店にも高級文房具が並んでいたように記憶している。外国人観光客相手の商売だったのであろう。私は、ある文房具店でバイブルサイズのファイロファックス手帳(リング式)とちょうどその手帳のペンホルダーにおさまるシェーファーの万年筆を購入した。シェーファーの万年筆は高価なものではなかったが、買うときに店員が「(インクをつけて)テストするか」と聞いてくれた。それほど、高いものではなかったので、テストはしなかった。万年筆の値段は覚えていなが、手帳は8,000円程度でなかったであろうか。当時は相当円高が進んでいて、香港ドルはかなり安かったように記憶している。
▼最初に使ったファイロファックス手帳(バイブルサイズ・リング式)
このリング手帳を使い始めて思ったのが、左側のページが非常に書きづらいということだ。構造をみれば当たり前なのだが。使い始めの当初は、カレンダーリフィルとメモリフィルを入れただけであって、バイブルサイズの手帳はやけに薄かった。その後、個人的なIDやパスワードの記入。覚えておかなければならない統計関係の数式。偉人の名言、お気に入りのショップ、買いたい本リスト、いつか行きたいお店・場所など、気になったことを何でも書くようになった。リング式の良いところは、一度記入したメモが資産として残るところであり、それが毎年蓄積される点である。一度書いておけば常に持ち歩くことができる。カレンダー部のリフィルの差し替えで済むというのが大きなメリットであろう。ノート型だとそうはいかない。リング式手帳であるがゆえに、毎年手帳が厚くなっていった。毎年変えるカレンダー部分のリフィルは、100円ショップでリングファイルを購入して保存していた。きっと今もあるはず。
手帳のリフィルが増えてくると、左側のページもあまり気にならず記入できるようになった。リフィルが少ない状態よりも、手がリングにぶつからなくなったからだ。ときどき手帳特集の記事があった。最近は多いと思うが。”著名な人の手帳拝見コーナー”のような記事をみると、誰もがかなりのリフィルが入っている。リフィル量をみると、”この人は資産があるな”と思っていたものである。
▼香港で購入したシェーファー万年筆
2代目のファイロファックス手帳
最初のファイロファックス手帳を購入して6~7年ぐらいが経って手帳がくたびれたので、新たなファイロファックス手帳を購入した。おそらく2002年ごろだったであろうか。色はオレンジ。少々派手な手帳だった。なぜ、当時この色を選んだのか全く覚えていない。一度、同じ会社の他の部署の女性(大先輩)と職場で打ち合わせをしていたときに、その方が私の机の上にある手帳をみて、「自分の手帳かと思った!」と言っていた。偶然にも先輩と同じものを使っていたのだ。確かに、女性向けの色でもある。当時、職場では市販の手帳を使っている人間が少なかった。職場から手帳が配付されていたのだ。文庫本よりひと回り小さいサイズのものであるが、さまざまなデータも記載されているので、多くの人はそれを使っていたのだ。
今、2代目のファイロファックスの手帳をみると、外側の革が傷んでいる。しかし、ステッチのほずれは全くない。この点はさすがのファイロファックスである。ファイロファックスのイギリスの工房で、特厚手のレザーを手作業で縫い上げる伝統的な技法で製作しているのだ。
ここまで傷む前に、もっとメンテナンスをしておけばよかった。革手帳を使っている人は、ぜひメンテナンスにも気を配ったほうがよい。
▼2代目のファイロファックス手帳(バイブルサイズ・リング式)
ほぼ日手帳を使い始める
今年(2017)、20年以上使ってきたファイロファックスのリング式手帳をメインから引退させて、ほぼ日手帳のweeksをメイン(携帯)に変更した。これまで蓄積したリフィルはファイロファックス手帳に残し、自宅での使用を主とした。蓄積したリフィルは重要であるが、最近ではほとんど外出先でその内容を利用することがなくなったからである。
新たに手にしたほぼ日手帳の色は、「アンティークレッド」。ほぼ日手帳の公式サイトには、「洋書のようなパリッと引き締まった印象の表紙には、ヨーロッパの書籍装幀用の生地が使われています。」とある。確かに落ち着いた「赤」で表紙も硬く、かなりしっかりしている。また、ほぼ日手帳の購入を機に手帳カバーも作成してもらった。weeks用のカバーを作成してもらった。といってもセミオーダーである。色はキャロット、中はオレンジであり、ソフトタイプである。オーダーの際にペンホルダーの位置の変更もお願いした。ペンホルダーの位置は、手帳の上から7cm。個人的には既製品のペンホルダーの位置だと、手帳全体のバランスが悪いような気がする。ペンのクリップの位置からすると妥当なのかもしれないが。ペンホルダーの位置の変更で全体のバランスがよくなった気がする。カバーを付けた手帳全体のソフトな質感はなかなか気に入っている。キャロット色は、少々派手な印象であるが、かえってこれからの経年の変化に期待できる。
手帳の表紙タイプと手帳カバーのタイプ
手帳にカバーをつけるときに、カバーをどのタイプにすればよいかということは迷う点である。手帳自体をソフトタイプにして、カバーに芯材を入れてハードにするか、逆に手帳をハードタイプにして、カバーをソフトにするか。
今回は、ハード仕様の手帳を購入したので、カバーはソフト仕様にした。個人的には、ファイロファックス手帳にもプラスチック板を入れていて補強を行っていたほど、硬めの手帳が好みである。今回使い始めたハードの手帳とソフトのカバーもなかなか満足いくものになっているが、立って筆記する際にはソフトに感じるときもある。機会があったらハードな手帳カバーにハードの手帳を使ってみたいと思っている。
手帳の表紙タイプとカバーのタイプの組み合わせ。
カバー・ハード | カバー・ソフト | |
手帳・ハード | 硬 | 中間 |
手帳・ソフト | 中間 | 柔 |
手帳本体とカバーのハードとソフトの組合せはどちらがよいのか。もちろん、個人の好みだとは思うが、ユーザーの感想を聞きたかった。ネットで検索しても、組み合わせを前提とた使用者のレビューはあまりでてこなかった(検索ワードが適切ではなかった?)。カバーのタイプ別にはでていたが、組み合わせによって変わると思う。手帳は毎年購入するが、手帳カバーは毎年変えないので、このあたりの組み合わせのレビューがあると嬉しい。
▼ほぼ日手帳と2代目ファイロファックス手帳
キャロットはかなり明るいオレンジ
使い始めたばかりでまっさらである。リングの有無、紙質など二つの手帳の重量はかなり違う。ファイルファックス手帳からの乗り換えなので、かなり軽量に感じる。携帯が全く苦にならない。また、あくまでも個人的な印象であるが、ファイロファックス手帳を会議に行くときに持っていく際に、かなり存在感があり、”いかにも手帳持ってる”的な感じだったが、ほぼ日手帳は、さりげない感じである。
▼ほぼ日手帳
▼ほぼ日手帳のカバー
このカバーは、プラスチックのカードホルダーもなくシンプルなところがよい。
ほぼ日手帳を使い始めて、最初の一文字目を書いたときに感じたのは、これまで使用していたリフィルと紙質の違いだ。ほぼ日手帳の公式サイトによると、この紙は、「超軽量印刷用紙のブランド”トモエリバー”」というものらしい。 軽く、滲みにくい、インクの乗りがよく、紙が破れにくい等の特徴があるらしい。一部の手帳には使われていたらしいが、知らなかった。いままでは比較的厚く、ざらっとした感覚のリフィルを使用していたので、最初は、”インクの乗りが良すぎ”という印象。少々驚いた。
この手帳で使用する万年筆は、これまでと同じアウロラのアスティル(M)である。ニューヨーク近代美術館の永久保存モデル。ただ、”トモエリバー”ならば、万年筆のペン先はFまたはEFでもよいかもしれない。最近は、FやEFの万年筆にインクを入れていないので手元に万年筆がないが、機会があれば検証したい。
▼アウロラのアスティル
この手帳にはペン先Mでは少々が太目である。インクは、パイロット社の万年筆用インクブランド「色彩雫」の“紺碧”。インクフローが良いが、乾くには時間がかかる。メモをしてすぐに手帳を閉じると、反対側のページに写ってしまう。こうなると非常に見づらくなるので、私は手帳に付箋を常に用意している。パーカーの速乾性のインク(Parker Quink)を試してみたいと常々思っているが、いまだ実現していない。万年筆と使用するインクの組み合わせについては、ネットにいろいろ出ているので参照されたい。
一時、手帳に関する本も集めていたが、最近は収集できていない。アマゾンで検索して一括して購入すれば収集は可能であろうが、それではなかなか読まないと思う。
とりあえず、手帳についての記憶を書き留めておいた。何か思い出したら追記したい。