『THE STATIONARY [特選]男の文房具 こだわりの目で選び抜いた書斎道具の本』
1988年にMEN’S CLUB BOOKS No.18として婦人画報社から出版。
「序」として書かれた松山猛氏による「文房具を語るまえに、まずは文字の発生から」と題した文章を引用。
「字を書くことはまた、その人の教養を高め、創意や工夫を要する行為である。」(p.8)
字を書くこと=何かを生み出すこと。仕事でも趣味でも同じ。頭の中にあるコトやモノを見える化する。
仕事であれば、上司を納得させるものになったのか、論文なら学術的な意義があるのか、物書きなら人を感動させることができるのか、楽しませることができるのか。文字を書く文脈によってそれぞれの意味がある。
ただ、この本では文字を書くということ自体の意義を述べているような気がする。人に読まれずとも、教養を高め、創意工夫は自分のためになっているということである。文字を書くということにどのような意義を見出すかは人それぞれの価値観によるだろう。
また、この本の中の、「先輩たちの仕事部屋(著名15人の文房具拝見)」の項は興味深い。若い人向けに編集された本なので、ここでは“先輩たち”という表現になっている。この項では、岡本太郎氏、金谷光容氏、油井昌由樹氏、冨田潤氏、三浦憲治氏、わたせせいぞう氏、粕谷姫中氏、斉藤久夫氏、加藤和彦氏、岩井半四郎氏、林敏弘氏、林みのる氏、坂本正治氏、玉村豊男氏、町春草氏といった1980年代当時に活躍していた15名の著名人の文房具に対する思いが語られている。
ただし、この中には文房具が仕事に必要不可欠の人から、ほとんど使用しない人まで登場している。仕事のなかでいかに文房具を使っているかという視点からの編集になっている。仕事のなかの文房具の意義がテーマだ。
参考に主な内容を記載しておく。
- 「万年筆 厳選ベスト10」
- 「文房具の基本アイテム」
- 「先輩たちの仕事部屋(著名15人の文房具拝見)」
- 「こんな机の上がいい」
- 「システム手帳は単ある予定表ではない」
- 「ニューヨークで見つけたアメリカ文具」
- 「未来的文房具活用法」