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迎賓館・和風別館ガイドツアー 建築家・谷口吉郎氏を知る

迎賓館・和風別館ガイドツアー 建築家・谷口吉郎氏を知る

迎賓館の和風別館「游心亭」ガイドツアーに参加してきたので、これから見学を予定している方々向けに、少々感想を述べてみたい。

迎賓館赤坂離宮。ここは国賓の方々の宿泊や晩餐会などが行われる国宝に指定された建築物である。国宝とは「重要文化財」のなかで世界文化の見地から特に価値の高いものとして指定されたものである。文化庁の文化財に関するページはこちら。

2016年4月からの赤坂離宮迎賓館の通年公開が始まって、個人的に2回ほど「本館・主庭」の参観を申し込んだが、いずれも落選(申し込みは内閣府サイトからインターネットでできる)。今回(2017年)は、連れ合いの誕生日の記念にと思い、和風別館(+本館・主庭)に申し込んでみた。ありがたいことに今回は当選であった。この和風別館のツアーは1日120名(1日6回開催)の限定ということなので、1度に20名しか参観できない。参観の申し込みは、当落にかかわらず結果のメールは届くので、当選発送日のメールは必ず確認したい。Gメールを使っていると、メインの受信フォルダではなく、別のフォルダに入っていることがあるので注意が必要だ。

今回は当選したということで、「平成29年度迎賓館赤坂離宮一般公開和風別館参観」参観証の送付」というメールが届いた。6月某日の10時30分からの見学である。メールには当日の入場の案内と注意書きが書かれている。とくに、集合時間に遅れた場合は、参観できなくなるので注意したい。当日はこのメールを印刷してもっていくか、スマホの画面を提示する必要がある。

参観の受付

参加証を印刷して、いざ出発。参加証メールには30分前までに入場して受付を済ませるという注意書きがあった、市ヶ谷駅で南北線への乗り換えが予想以上に時間を要したので、四ツ谷駅到着が遅れ気味だった。四ツ谷駅を出て、迎賓館に向かう途中で、道案内をしている迎賓館の職員の方(だと思う)から「和風別館のツアーに申し込んだ方ですか?」尋ねられた。「はい」と答えると、丁寧な案内をしてくれた。駅から受付場所まで10分以上はかかるので、時間に余裕をもって出かけたい。

迎賓館の西門から入場して、和風別館当選者専用の入場列に並ぶ。そこで、印刷した参観証運転免許証を提示して、荷物検査をうける。この手続きのときに、簡単な案内と迎賓館と和風別館のパンフレットがもらえる。和風別館の参観料は大人1,500円中・高校生700円である(迎賓館本館の参観もできる)。

迎賓館のパンフレットと案内マップ

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西門から迎賓館の右手を通って本館の裏側の迎賓館の主庭にやってくる。広い庭の向こうに大きな噴水が見える。いきなり感動。噴水の奥に見えるテントが集合場所だ。2009(平成21)年、創建当時の建造物である迎賓館赤坂離宮の本館、正門、主庭噴水池等が明治維新以降建造物としては初めて国宝に指定され。

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国宝の主庭噴水池

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下の写真は集合場所から和風別館のある方向を撮影したもの

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和風別館ガイドツアースタート

参加者も集まり、定刻の10時30分にいよいよツアーがスタート。

迎賓館の職員の方(だと思う)が説明しながら、木々のなかをゆっくり進んでいく。1回の参加者が20名ということもあり解説もとても聞きやすい。

下の写真はエリザベス女王が植樹したイングリッシュオーク。迎賓館には、このほかにフォード米国元大統領と旧ソ連のゴルバチョフ書記長が植樹した記念樹があるそうだ。最近は記念植樹をしていないというお話もあった(ようが気がする)。

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庭の木や芝生に触れないように慎重に進む。歩くにも注意が必要だ。

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和風別館「游心亭」(ゆうしんてい)

游心亭は宿泊施設ではなく、国賓を接遇する施設として利用されるそうだ。游心亭の前には大きな池が設けられている。

迎賓館和風別館は昭和49年(1974年)に迎賓館の大改修時に谷口吉郎の設計により新設されたもので、「游心亭」と名づけられています。南庭には紅白の梅の木を配した築山があります。(パンフレットより引用)

谷口吉郎氏は、千鳥ヶ淵戦没者墓苑(1959年)、東宮御所(1960年)、帝国劇場(1966年)、東京国立近代美術館(1969年)などを設計した建築家であり、昭和48年(1973年)に文化勲章を受章している。

著名な方なのでインターネットで検索すれば情報は手に入る。事前に経歴や建築物を調べておくことをおすすめしたい。

さらに、谷口吉郎氏の息子の谷口吉生氏も著名な建築家である。作品には、東京国立博物館法隆寺宝物館(1999年)、ニューヨーク近代美術館新館(2004年)、東京都葛西臨海水族園(1989年)など多数ある。

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「游心亭」(ゆうしんてい) に到着。内部の撮影は禁止。内部をひと部屋づつ詳しく説明してくれる。

下の写真は玄関の六角形の照明器具。内部には、谷口吉郎氏が用いる六角形が随所にみられる。「游心亭」見学ツアーに当選したら、ぜひ注目してほしい。

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内部には

  • 渡り廊と坪庭(孟宗タケ京都の白川砂貴船石が配される空間)
  • 主和室(47畳敷きの広間)※大広間の廊下からサッチャー元英国首相が鯉に餌をやる姿の写真が飾られていた。
  • 即席料理室(カウンター席)
  • 茶室
  • 待合

孟宗竹は、日本のタケ類の中で最大であり高さ25mに達するものもある。
白川砂は、京都・白川上流で採取された上質の白砂。京都の寺や神社に用いられてきた。現在は法令により一切採取が出来ないらしい。
貴船石
は、庭石として最高級。主に京都・加茂川に産出する貴重な石。ほとんど新たに産出されることがないらしい。

和風別館前には樹齢100年の黒松などの盆栽が置かれている。

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約45分の案内が終わり、もときた道を戻る。

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集合場所のテントに戻り解散。その後は自由に主庭や本館を見学することができる。

主庭の奥には菖蒲が咲いていた。

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迎賓館内部の撮影禁止。下の写真は迎賓館内部を見学した後に撮影した写真

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感想

当日は、天気も良く、とても有意義な時間を過ごせたと思う。連れ合いの誕生日だったので、よい思い出になった。私は建築のことはよくわからないが、見学の前に「游心亭」(ゆうしんてい)を設計をした谷口吉郎氏について調べておくと、ガイドをしてくれた職員の方の話をより深く理解できると思うし、なによりも建物そのものを見る目が違ってくると思う。

 

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